住宅へ侵入してくる侵入犯罪者について、その心理状況や行動パターンを把握する事により、効果的な防犯対策を行えます。
侵入犯罪という犯罪は、読んで字のごとく、住宅などの建物に侵入してくる事です。
具体的には、留守中に侵入する「空き巣」や、夜間や朝方など就寝している時間帯に侵入する「忍び込み」、昼寝や食事中している隙に侵入する「居空き」などといった手口で侵入し、窃盗を犯します。
特に忍び込みや居空きなど、家に人が居るにもかかわらず侵入してくるケースは、空き巣に比べ、強引なイメージもあり、鉢合わせの可能性も高く非常に危険です。
警察丁が公開している数字からすると、平成16年以降から住宅侵入窃盗の認知件数は減少傾向にあるそうですが、それでも1日に約100件もの住宅窃盗の被害が起きています。
そのような事を考えると、自分の家もいつ、そのような被害に遭っても不思議ではありません。
今回は、侵入犯罪者の心理状況や行動パターンを踏まえながら、防犯対策を考えてみたいと思います。
空き巣の道具は凶器である
侵入犯罪者はバールやドライバー、電動ドリル、金槌などを使って玄関ドアのこじ開け、サムターン回し、窓ガラスを割って侵入を試みます。
特に侵入経路として一番多いのは、「窓」であり、戸建住宅でもアパートやマンションでも原因は「窓の鍵のかけ忘れ」です。
これも警察庁の統計で発表されていますが、侵入窃盗の手段第一位が、戸建て、共同住宅(アパート・マンション)ともに「無締り」要するに鍵の閉め忘れなのです。
そして侵入場所も、戸建て、共同住宅(アパート・マンション)ともに「窓」が第一位です。
このような事から、侵入者も窓の鍵の掛け忘れが多い事を知っているので、まず始めに窓に目をつける傾向にあるといえます。
ここで一番怖いには、侵入者が使う道具は、全て凶器となり得る事なのです。
鉢合わせした際に、バールや金槌等を振り回されたり、それを使って脅されたりします。
ここで心に留めておきたいことは、侵入犯罪者と鉢合わせした場合は抵抗したり捕まえるような事はせずに犯人との接触を避けて逃げる事です。
凶器を持っている犯罪者に向かっていくのはあまりにも危険なので、まず逃げて身の安全を確保してから警察に通報するようにしましょう。
空き巣が下見するポイント
犯罪者は急に侵入してくるケースは少なく、侵入しようとした住宅の下見を行い、予め調査をします。
主な下見ポイントは次のような内容になります。
・高い植栽や塀など、周囲から死角となるような物があるか。
・足かけや、足場となるような物があるか。
・窓のクレセント錠が開けやすい位置にあるか。
・犬を飼っているか。
・逃げやすい環境か(駅やバス停が近い)。
・近所の人が外で会話している環境か。
このような事から、やはり侵入犯罪者は、人の視線や犬の鳴き声などの音を嫌がり且つすぐに遠くに逃げられる逃げ場を確保している事が分かります。
また、警察庁のホームページによると、特に近隣住民同士のコミュニケーションや連帯感のある団地付近に侵入するのは犯罪者が嫌がると言われています。
その近隣同士の連帯感があるかどうかの見るポイントはゴミの出し方で判断される事が多いそうです。
指定日以外の日にゴミが出されているように、ゴミの日を守られていない団地や共同住宅(アパート・マンション)は犯人に「連帯感が無い」と判断されがちだそうです。
侵入犯罪者は、家の留守を確認する為に、何回も家の付近を通ったりする他、電話をかけたり、インターホンを押したりして留守を確認するのです。
防犯カメラの有無は大きな違い
先ほど空き巣が下見するポイントを挙げましたが何よりも防犯カメラの有無が一番気にするポイントでしょう。
人に見られなくても防犯カメラがあれば映像として残ってしまいますからね。
もちろん防犯カメラがあっても空き巣にとって好条件が揃っていれば侵入されてしまいますがまず防犯カメラがあれば空き巣に警戒されるのは言うまでもありません。
防犯カメラを設置するという事は”防犯意識が高い”ということ。
それを空き巣に視覚的にアピール出来ます。
下見ポイントに対する対策
侵入犯罪者の主な下見ポイントで自分の家が狙われないようにする為に、対策を考えていきます。
まず死角に対する対策としては、無駄に伸びている植栽や庭木は出来る範囲でスッキリと切るか、剪定を行いましょう。
塀や目隠しになるようなフェンスは、解体する訳にもいかない為、そういった場所に向けて防犯カメラ(費用が足らなければとりあえずダミーカメラでも可)を設置します。
防犯カメラの設置や、設置ステッカーは視覚的にも心理的にも犯人を警戒させる効果が得られます。
次に、犯人の足場となるような物、例えば梯子(はしご)や脚立(きゃたつ)など、壁に立てかけていたりしていませんか?
梯子や脚立は犯人が2階などに侵入する時に最も好都合な道具になってしまいます。
脚立は鍵付きの倉庫に保管、梯子はフェンスや支柱など、しっかりした固定物に鎖やチェーンなどで繋ぎ、横に寝かせて置きましょう。
窓のクレセント錠は、その付近を割られると手を伸ばして鍵を開けられてしまう為、鍵を増設しておきます。
下見の段階で諦めさせる為に、あえて防犯ステッカーを貼っておくのもいいと思います。
空き巣の行動パターン
留守を狙われ、犯行被害に遭ってしまった場合でも対策次第ではその被害を最小限に抑える事ができます。
まず侵入犯罪者の犯行時間に注目します。
これらの犯罪者は、侵入にかける時間は5分が目安だと言われています。
その原因は単純に、長く現場に居てしまうと目撃されたり、家の住人が帰宅してくる可能性が出てくるからです。
ですから犯人のタイムリミットは5分、長くて10分と考えて良いでしょう。
ですから、その逆を考えて、家の防犯対策は、ピッキングや窓開けに10分以上の手間がかかるような構造にしておく事がポイントとなります。
手間がかかるような構造にすると言っても、費用をかけて大がかりなリフォームをしなくても、ちょっとした防犯アイテムを取付ける事でも「時間稼ぎ」には効果を発揮します。
窓には既設のクレセント錠以外に、外からは見えないような位置に鍵を増設したり、玄関の既設の鍵をグレードアップするようなアイテムを取付けてみたり、その手段は様々です。
ぜひこの機会にDIYで自宅の防犯対策をしてみてはいかがでしょうか。