賃貸のお部屋にモニター付きインターホンがない!大家さんへの交渉方法や自己負担で取り付ける場合の注意点。

賃貸生活

偽装犯罪やしつこい悪質訪問営業の対策として訪問者の顔を確認出来るモニター付きインターホンは今や最低限の防犯設備です。本記事では賃貸住まいでお部屋にモニター付きインターホンがない方向けに大家さんへの交渉方法や自己負担で取り付ける場合の注意点をまとめています。

最近の新しい賃貸アパートやマンションでは標準設備としてホームセキュリティー付きの物件も増えてきているのにホームセキュリティーはおろか、未だに音声のみのインターホンやチャイムしか付いていないお部屋にお住まいの方も多いでしょう。

このご時世、チャイムや人の声だけで玄関を開けていいかどうかの判断するのは防犯的にも不安要素があります。

とはいえ、モニター付きインターホンが無い状態で契約した以上、このままの状態で我慢するしかないのでしょうか。

答えはノーです。

取付け費用負担が大家さんなのか入居者様であるあなたなのかは別に考えて、防犯上モニター付きインターホンは必須です。

現状、お部屋にモニター付きインターホンが付いていない方は今後の防犯対策を考える上でも本記事をご参考にしてください。

モニター付きインターホン取付けを交渉出来る?

モニター付きのインターホンがないお部屋にお住まいの方はモニター付きのインターホンに取り付けてもらえるか交渉出来るものなのでしょうか。

不動産業界人の私がお答えします。

交渉は出来ますが大家さんによります

モニター付きのインターホンの取付けに限らず、お互いに賃貸借契約を締結をしていますが契約書に記載のない事項についてはお互いに協議することは可能です。

例えば逆に大家さんの立場からだと、建物設備や部屋設備をグレードアップしたから少し家賃を上げたいとか、そんな交渉ももちろん可能です。

ただ、お互いに相手は『人』なので協議や交渉をして自分の希望が通るかどうかはやってみないと分かりません。

結果はどうあれ、協議や交渉をすること自体は自由なのです。

部屋設備グレードアップ系の交渉が難航する理由

モニター付きインターホンの取付けを大家さんに交渉する最善の方法をお教えする前に大家さん側の気持ちをこっそりお伝えしてしまいます。

私は賃貸仲介や賃貸管理の業務も経験があり、その間、様々な入居者様の要望や希望を間に入って大家さんに交渉してきました。

小さな要望から大きな要望までたくさん交渉してきましたが、基本的に大家さんはお金に対してシビアであり出来れば身銭を切りたくない大家さんがほとんどですね。

例えば本記事の本題でもある『モニター付きインターホン』の取付け交渉。

一人暮らしで訪問者の顔を確認出来ないのはこのご時世不安だというお気持ちはご理解いただけます。

しかしそのお部屋を契約したのは入居者様であり、事前に内見もしたし重要事項の説明で設備についての説明があって契約したのだからそれは仕方ないのでは?というのが大家さんの本音なのです。

厳しい言い方をすると例えばお風呂が無いアパートを契約して、契約期間中に「お風呂がないと不便だからお風呂を付けてください」と言っているようなものなのでしょう。

お風呂とモニター付きインターホンはそもそも工事金額が違うので大袈裟だなと感じてしまうお気持ちも分かります。

しかし大家さん側からすると金銭的な理由の他、大なり小なり一人でもその要望に応えてしまうと他の入居者様から「不公平だ」とかクレームを付けられたり色々な要望に応えなくてはいけなくなるデメリットも生まれてしまうのです。

このようなことが、部屋設備におけるグレードアップ系の要望や交渉は難航する理由になります。

賃貸でモニター付きインターホンを取り付けてもらう交渉方法

以上のことから賃貸におけるモニター付きインターホンを大家さんに取り付けてもらう交渉はハードルが高いということがご理解いただけたかと思います。

しかしハードルは高いものの、交渉は可能なので交渉しない手はありません

大家さんによってはモニター付きインターホンを取り付けて欲しいと交渉したらすんなり応じてくれた例もあるのですから。

ここからは私の個人的な経験と見解に基づいて賃貸における最善のモニター付きインターホンの交渉をご紹介したいと思います。

まずは賃貸借契約書・重要事項説明書を確認する

交渉前に確認したい書類が賃貸借契約書と重要事項説明書です。

簡単に言うと契約時にサインした書類が賃貸借契約書で、契約前に宅地建物取引士から説明された書類が重要事項説明書になります。

その二つの書類を手元に用意してください。

各々の書類に、建物や部屋の設備状況を記載した項目があると思います。

その場所に部屋設備についてインターホンについて『モニター付きインターホン』とか『テレビモニター付きインターホン』と記載はされていませんか?

もしそこにモニター付きインターホンと記載されていれば今契約しているお部屋にモニター付きインターホン付きなので即取付けの要望を出しましょう。

これは稀なパターンですがたまに部屋設備記載に間違いがあることがありますのでここをまず始めに確認してみてください。

モニター付きインターホンを交渉する相手は大家さん?管理会社?

賃貸でお部屋を借りている場合、大家さんから直接借りている場合と管理会社が間に入っている場合があります。

ちなみにお部屋を契約した不動産屋さんが管理会社であるとは限りません。

分からない方は契約書を確認して管理は大家さんなのか、管理会社があるのか確認してみましょう。

もし管理会社が間に入っている場合、モニター付きインターホンの取付け交渉は管理会社に相談することになります。

契約書には大家さんの住所や連絡先が記載されているので直接連絡することも可能ですが特段の事情が無い限り入居者様からの連絡は管理会社へするのが一般的です。

管理会社に管理を委託している大家さんというものは入居者様との直接折衝を嫌がります。

仮に大家さんへ直接連絡したとしても「管理会社へご連絡してください」と言われることが多いでしょう。

それに管理会社の担当者によっては真摯に相談すれば大家さんに上手に交渉してくれる方もおりますので管理会社を信用してご相談してみましょう。

それでは交渉の仕方についてご参考までに何パターンかご提案していきますね。

時期的立場を利用した交渉方法

考え方によっては入居者様が大家さんより立場が上になるタイミングがあります。

それは申込/契約時です。

この時は家賃を下げてくれれば契約する・こんな部屋設備を付けてくれれば契約するといった交渉がしやすいです。

この申込/契約時のタイミングまではいかないまでも似たような交渉しやすい時期が更新契約時です。

賃貸借契約の期間は2年間が一般的ですので2年毎に更新契約の時期が訪れます。

更新時期は更新を機に更新契約せずに他の物件にお引越しする方も少なくありません。

この時期に退去されたくないと思っている大家さんの心理を突いてモニター付きインターホンの取付け交渉を相談してみてはいかがでしょうか。

それにこの更新時期に退去されないか不安に思っているのは大家さんだけでなく管理会社も同じ気持ちです。

せっかく部屋が埋まり家賃が発生しているのに退去されては管理会社の管理手数料も減ることになりますし、また一から入居者を探すのは手間ですからね。

交渉するのは更新時期ギリギリではなく、1ヵ月前~2ヵ月前を目安に交渉すると大家さんも考える時間を与える意味でも適した時期と言えるでしょう。

理に適った交渉方法

部屋設備グレードアップの交渉は難しそうな大家さんだなと感じている場合ははじめから理に適った交渉をした方がいいと思います。

管理会社から聞いた大家さん像、または直接会った感覚で「この大家さんは難しそうだな」と感じる時はありますよね。

であれば思い切って最初から自分も身銭を切る交渉をするのもありです。

例えば月額1,000円家賃を上げてもいいのでテレビモニター付きインターホンを取り付けてくれないか相談してみることです。

スタンダードなモデルであれば工賃込みで25,000円~30,000円程度です。

大家さんは年間12,000円分、モニター付きインターホン代を受け取ることが出来ますし、退去する際は原則モニター付きインターホンを置いていくので大家さんにとって悪い話ではないと思います。

入居者様からの立場からすると長く住めば住むほどモニター付きインターホン代が高くつくことになりますが一時的な支出は抑えることが出来ます

それにもしかしたら「そこまで言うなら大家負担で取り付けてあげるよ」と言ってくれる大家さんもいるかもしれません。

自分もお金を出すというデメリットはありますが交渉手段の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

自己負担でモニター付きインターホンを取り付ける場合の注意点

交渉は自由なので相談したらすんなり応じてくれる場合もあれば大家さん負担では取付けを断れる場合があります。

そこで交渉に応じてもらえず自己負担で取り付けることになってしまった場合の注意点もご紹介しておきます。

既存機器の取り扱いについて

自己負担でモニター付きインターホンを取り付けることはいいのですが元々付いていたモニター無しのインターホンやチャイム等の機器はどうしたらいいか確認しておきましょう。

元々付いていたモニター無しのインターホンの所有権は大家さんにあります

モニター付きインターホンに取り替えた時に元々付いていた機器を勝手に処分してしまうと、大家さんから「付いていた機器を返してください」と言われた時に困ります。

入居者様からすれば処分する対象であっても大家さんにとっては『まだ使えるもの』の対象の場合があります

外した機器を他の部屋に流用したり中古で売る大家さんもおりますので取り替える前に、既存の機器はどうしたらいいかを確認するべきです。

退去時の原状回復の対象になるかどうか

また、入居者様負担でモニター付きインターホンに取り替えたにも関わらず、退去時には原状回復を求められることがあります

なので自己負担で取り替える際は既存機器の取り扱い(処分か大家さんに渡すか)や退去時の取り扱い(元に戻すのかこのまま退去してもいいのか)を確認し可能であれば書面に残しておくことをおすすめします。

取り外した既存機器の取り扱いについても、退去時の原状回復についても面倒でもきちんと取り決めをしっかりしておかないとお部屋を解約する時に思わぬトラブルに発展しかねません。

取付け工事を行う大家さんの指定業者はあるか

モニター付きインターホンの取付け配線工事はYouTubeでもたくさん動画が出ているので自分で取り付けることも可能です。

しかし感電の恐れも十分ありますし、厳密に言うと電気工事の資格がない方はやってはいけないことになっております。

また、電気工事といえども大家さんの指定工事業者があるかもしれませんので大家さんに指定の工事業者が居るかどうかも確認しましょう。

勝手に工事業者を選んで万が一トラブルや事故が起きてしまった場合、入居者様が責任を問われる可能性もあるからです。

以上3点が賃貸における自己負担でモニター付きインターホンを取り付ける際の注意点となります。

基本的にお部屋も既存のインターホンも所有権は大家さんにあるという考え方で物事を考えると自然と注意すべきことが分かってきます。

賃貸でおすすめのモニター付きインターホン

モニター付きインターホンの物自体を安く買っても取付け工事代金が高いので総額で結構な費用が掛かってしまいます。

この費用面の負担が重くのしかかり、結局入居者様はご自身の負担で取り替えるのを諦めてしまう方も多いでしょう。

そのような背景を踏まえると、私個人的には賃貸で入居者様負担でモニター付きインターホンを取り付ける場合は後付け増設タイプのものをおすすめします。

増設タイプは、新しい機器を増設するので既存の機器は外したりする必要もなく、原状回復時も後付け増設した機器を取り外せばいいだけなので気軽に取り付けることが可能となります。

また、ワイヤレスタイプの機器であれば感電の恐れのある配線工事も必要ありません。

賃貸でおすすめのワイヤレスタイプのモニター付きインターホンについては下記の記事でご紹介しておりますので宜しければご参考にしてみてください。

本記事では賃貸でモニター付きインターホンがない方向けに大家さんへの取付け交渉は出来るのかどうかについて記事を作成しましたがご参考になりましたでしょうか。

長くなりましたが、要約すると下記のようになります。

・モニター付きインターホンの取付けを大家さんに交渉することは可能だけど要望が通るかどうかは大家さんによる

・管理会社があればまずは管理会社に相談する。

更新契約時期の1~2ヵ月前が交渉しやすい。

・入居者負担で取り替える場合は確認することが多く費用も割高になりがち。

・入居者負担で取り替えるならワイヤレスの後付け増設タイプがおすすめ。

こんなところでしょうか。

余談ではありますが、大家さんに何か交渉する時はその判断材料として入居者様の資質も見られることになります。

例えば善良な入居者様なのか、家賃は滞りなくお支払いしているか、他の入居者様に迷惑となるようなことをしていないか、など普段から交渉しやすい入居者像を構築しておくことも大切です。

難しく考えすぎすに駄目元でも交渉をしてみることをおすすめします。